サイトアイコン とある坊主の猟奇的な日常

水族館 ~ゴマアザラシという生き方~

先日都合が合わなくて行けなかった水族館へ、愛息を連れて行ってきた。

館内に入ると、少し暗い場所では警戒したような顔をしていた。でも、水槽の向こうをゆっくり泳ぐ魚たちを見つけると、急に静かになった。小さな手を止めて、じっと見ている。何を考えているのかは分からない。ただ、普段家の中では見ない動きや色に、意識の全部を持っていかれているようだった。

8ヶ月の子どもだから、今日のことを大人になって覚えているわけではないと思う。それなのに僕たちは、絵本を読んだり、公園に連れて行ったり、水族館へ来たりする。記憶に残るかどうかよりも、その時その時に身体の中へ蓄積されていく何かを信じているのかもしれない。

だから、一緒に来て良かったと思った。

僕は僕で、魚よりもゴマアザラシに目を奪われていた。

大きな身体を揺らしながら、水の中をするすると進んでいく。頑張っているようにも見えないし、誰かと競争しているようにも見えない。ただ、自分のいる場所を受け入れて、その中を気持ち良さそうに泳いでいた。

それを眺めながら、こういう生き方もあるんだなと思った。

何かを成し遂げるために必死で泳ぐ生き方ばかりに目が向いてしまうけれど、力を抜いたまま遠くへ進む存在もいる。水槽のガラス越しに見たゴマアザラシは、なぜだか少し羨ましかった。

愛息はそんな僕の感傷なんて知らずに、次の水槽へ興味を移していた。

その切り替えの早さも、なんだか良かった。

また機会があれば、一緒に行こう。

次はどんな顔で魚たちを見るのだろう。成長途中の横顔。

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